ホワイトペーパーの構成テンプレート|よく使う5つの型と使い分け

ホワイトペーパーを作ることになったものの、どんな構成にすればよいか分からない。マーケティング担当の方から、そんな相談をいただくことがよくあります。

実のところ、ホワイトペーパーの構成には定番の型がいくつかあります。私はこれまで110本以上のホワイトペーパーを制作してきましたが、そのほとんどは5つの型のどれかを出発点にしています。型を知っていると、企画の段階で迷う時間が減り、読者にとっても読みやすい資料になります。

この記事では、その5つの型の構成例と、どう使い分けるかの基準を紹介します。

ホワイトペーパーの構成に「型」がある理由

そもそも、なぜ型が有効なのでしょうか。

ホワイトペーパーの読者は、勉強のために資料を読むわけではありません。業務上の課題を解決するヒントが欲しくて、名前とメールアドレスを差し出してダウンロードしています。つまり読み始めた時点で、読者の頭の中には「知りたいことの順番」がすでにあります。

課題を知りたい人には課題から、技術を知りたい人には技術から。型とは、この読者の期待の順番に合わせて情報を並べるための設計図です。多くの企業が試行錯誤してきた結果として残っている並び順なので、奇をてらった独自構成よりも、素直に型に沿ったほうが最後まで読まれやすいと感じています。

また、型が決まると制作もスムーズになります。発注側とライターの間で「この型で行きましょう」と合意できれば、構成案のすり合わせが1往復で済むことも珍しくありません。

よく使う5つの型

ここからは、私が実際の制作でよく使う5つの型を順番に見ていきます。それぞれ、目的・構成例・向き不向きをセットで紹介します。

1. 課題啓発型|まだ気づいていない課題に気づいてもらう

読者がまだ自分の課題としてとらえていないテーマについて、「これは放置できない」と気づいてもらうための型です。

構成例は次のとおりです。

  1. 環境変化やリスクの提示
  2. 放置した場合に起こること
  3. 自社に当てはまるかのチェックポイント
  4. 対策の方向性
  5. 対策を支援するサービスの紹介

ポイントは3番目です。リスクの話を一般論で終わらせず、読者が「うちの会社はどうか」と考えられる仕掛けを入れると、その先の対策パートが自分ごととして読まれます。

以前、南海トラフ地震をテーマにしたBCP対策ガイドを制作したことがあります。地震の想定被害という大きな話から入り、業種や拠点の条件ごとに影響を整理して、読者が自社の状況を重ねられる流れにしました。危機感をあおるだけの構成にしないことが、この型では大切だと考えています。

向いているのは、新しい課題領域や、重要なのに後回しにされがちなテーマです。逆に、すでに製品を比較検討している読者には遠回りな内容になるため向きません。

2. 技術解説型|技術を正しく理解してもらい信頼を得る

自社製品の背景にある技術を丁寧に解説し、「この会社は技術が分かっている」という信頼を得る型です。

  1. 技術の概要と登場した背景
  2. 仕組みの解説
  3. 導入・活用時の検討ポイント
  4. 製品やサービスを選ぶ基準
  5. 自社製品の位置づけ

この型は、売り込みを我慢するほど効果が出ます。解説パートで特定製品に誘導する書き方をすると、読者は広告だと見抜いて離脱します。選定基準まで中立に書き切り、最後に自社の位置づけを短く示す程度がちょうどよいバランスです。

向いているのは、製造業や通信、セキュリティのように技術の理解が購買の前提になる分野です。読者が技術者や情報システム部門の場合に強く効きます。一方、読者が経営層であれば、技術の仕組みより投資判断の材料が求められるため、後述の経営課題訴求型のほうが適しています。

3. 事例紹介型|導入後の姿を具体的にイメージしてもらう

導入事例を複数束ねて、「自社でも使えそうだ」と感じてもらう型です。

  1. 読者企業に共通する課題の整理
  2. 事例の紹介。課題・導入の経緯・効果の順で数本
  3. 事例から見える成功パターンの整理
  4. サービス紹介

単に事例を並べるだけでは、カタログのようになってしまいます。読者が自分に近い事例を探しやすいよう、業種や企業規模、課題の種類で事例を分類する一手間が効きます。以前、40枚を超える大型の事例集を構成したときも、事例を業種別に再整理し、冒頭に一覧マップを置くことで、拾い読みでも価値が伝わる形にしました。

向いているのは、比較検討段階の読者が多い商材や、導入効果をイメージしにくい無形サービスです。逆に、公開できる事例がまだ少ない場合は無理をせず、別の型を選ぶほうがよいと思います。

4. 網羅ガイド型|そのテーマの「これ1冊」になる

あるテーマについて、基礎から導入手順までを網羅する完全ガイドの型です。

  1. 基礎知識と用語の整理
  2. 種類や方式の比較
  3. 選び方の基準
  4. 導入の手順
  5. 導入前のチェックリスト

この型の強みは、保存されることです。読んで終わりではなく、検討が進むたびに読み返される辞書のような存在になれると、社内で回覧されて接点が増えていきます。ダウンロード資料としてだけでなく、営業担当が商談で渡す資料としても使い回しが効きます。

向いているのは、検索ニーズがはっきりあるテーマや、検討項目が多くて迷いやすい商材です。注意点は分量で、網羅をうたう以上、内容が薄いと逆に信頼を損ねます。作り切る覚悟が必要な型です。

5. 経営課題訴求型|決裁者に投資の必然性を伝える

現場担当者ではなく、予算を握る経営層・決裁者に向けた型です。

  1. 経営環境の変化
  2. 変化がもたらす経営リスクと機会
  3. 投資対効果の考え方
  4. 先行企業の動向
  5. 取り組みへの提言

技術の詳細には踏み込まず、「なぜ今この投資が必要か」に絞って論を進めます。稟議を通したい現場担当者が、上司を説得する材料としてこの資料を使う、という二段構えの読まれ方をよくします。だからこそ、データや外部調査の引用など、社内会議で引用しやすい根拠を多めに入れておくと喜ばれます。

向いているのは、導入金額が大きく決裁のハードルが高い商材です。逆に、現場の実務改善がテーマの商材であれば、ここまで構える必要はありません。

型を選ぶときの判断基準

5つの型を紹介しましたが、迷ったときは次の3つの順で考えると選びやすくなります。

1つ目は、読者の検討段階です。 まだ課題に気づいていない層に届けたいなら課題啓発型。情報収集を始めた層には網羅ガイド型か技術解説型。比較検討中の層には事例紹介型。稟議の段階なら経営課題訴求型。ホワイトペーパーは1本ですべての段階をカバーできないので、どの段階の読者を狙うかを最初に決めます。

2つ目は、読む人の立場です。 同じテーマでも、技術者が読むなら技術解説型、経営層が読むなら経営課題訴求型と、型が変わります。ダウンロードフォームの項目を見返して、実際に誰がダウンロードしているかを確認するのも有効です。

3つ目は、自社が出せる素材です。 事例紹介型は公開できる事例があってこそ成立しますし、技術解説型は語れる技術の独自性が必要です。理想の型より、素材が揃う型を選ぶほうが結果的に良い資料になります。

3つの基準を一覧にすると、次のようになります。

型主な読者検討段階必要な素材
課題啓発型課題未認識の担当者認知前リスクや環境変化の根拠データ
技術解説型技術者・情報システム部門情報収集語れる技術の独自性
事例紹介型比較検討中の担当者比較検討公開できる導入事例
網羅ガイド型情報収集を始めた担当者情報収集テーマを網羅する知見と分量
経営課題訴求型経営層・決裁者稟議・決裁投資判断を支える調査・データ

それでも迷う場合は、営業担当の方に「商談で一番よく聞かれる質問は何か」を聞いてみてください。その質問に資料1冊で答えるとしたらどの型になるか、と考えると、たいてい答えが見えてきます。

なお、1本目をどれかの型で作っておくと、2本目以降はテーマを変えて同じ型を流用するシリーズ展開ができます。制作効率が上がるだけでなく、資料のトーンが揃うので、企業としての発信に一貫性が出ます。

よくある質問

Q. ページ数はどのくらいが適切ですか?

A. 10〜20ページ程度に収まるものが多いです。型によっても変わり、課題啓発型はコンパクトに10ページ前後、網羅ガイド型は20ページ前後まで膨らむことがあります。ページ数そのものより、1ページ1メッセージで無駄なく構成されているかのほうが重要だと考えています。

Q. 複数の型を組み合わせてもよいですか?

A. 主軸を1つ決めたうえで、他の型の要素を部分的に借りるのはよくあります。たとえば技術解説型の終盤に事例を1つ添える、といった形です。ただし2つの型を半々で混ぜると、誰に何を伝えたい資料なのかがぼやけるため、おすすめしません。

Q. 型どおりに作ると、他社の資料と似てしまいませんか?

A. 構成が似ることは問題にならないと考えています。差がつくのは構成ではなく、中に入れる素材です。自社にしかない事例、データ、現場の知見が入っていれば、同じ型でもまったく別の資料になります。むしろ構成の奇抜さで差別化しようとすると、読みにくさだけが残りがちです。

Q. 構成案は発注側とライターのどちらが作るものですか?

A. ライター側が構成案を作り、発注側が確認する分業が一般的です。発注側で用意していただきたいのは、資料の目的、想定読者、獲得したいリード像の3点です。この3点さえ共有できれば、型の選定から先はライターに任せて問題ありません。

Q. デザインは別で発注する必要がありますか?

A. 原稿とデザインを別々に発注することもできますが、図解を前提にした構成は執筆段階から考えておく必要があるため、可能であれば一貫して依頼するほうが仕上がりは安定します。私自身も、構成からスライドデザインまでを一括でお受けすることが多いです。


ホワイトペーパー制作のご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。テーマ選定や型の使い分けを含めた、企画段階からのお手伝いも可能です。

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